今から約150年前、早月川の上流にある折戸村は、とんでもないあばれ川であるこの川にとても苦しめられてきました。

そこの村人である『与平』という若者は、とても信仰深く、心の優しい人物でした。

彼は、自分の村からとても遠い上市村に買い物に行く際には、必要なものがあれば買ってくるから、といつも村中の人々に声をかけていました。

ある時、上市村まで買い物に出て頼まれた用事に奔走していると、どこからか与平を呼ぶ声が聞こえてきました。

声が聞こえる方へ近づいていくと、そこには百貫にもなる大石が話しているではありませんか。

その石は与平に、

「与平、おまえの親切にはいつも感心しておる。わしは水の神なのじゃが、どうも早月川が大雨の度に洪水を起こし、おまえたちを困らせておるようではないか。わしが守ってやるから背負って連れて行くがよい。」

と言うので、与平はとても有難いとかしこまり、山のような荷物と共に石を持ち上げてみました。

大きな見た目とは裏腹にとても軽いその石に驚きましたが、おかげでなんの心配もなく村までたどり着くことができました。

与平は村の人々と話し合って祠を作り、そこに神様を祀りました。
それからは早月川の洪水も減り、村の人々は大変助かりました。

村ではこの石を『与平の宮』と名付け、田んぼの守護神として毎年5月7日お祭りを行っています(旧白萩東部小学校校庭横に現存)。
(剱いおりの郷から 4㎞)